医療通訳の現場から - DIVERSITY TIMES - 外国人の"今"を知って好きになる。

医療通訳の現場から

2021.07.23

 
GTNでは、外国人の方と医療関係者との意思疎通をサポートする医療通訳サービスを提供しています。
双方の架け橋となるべく日々奮闘する医療通訳チームにはどのようなメンバーがいるのでしょうか。

第一弾は 医学博士でありGTN生活サポート部の医療通訳チームを支える山田 エレーナさんにインタビューしました。
日系3世のエレーナさんの生い立ち、ブラジルにおける医師・通訳者としての経験、そしてGTNの医療通訳サービスへの想いを聞いてみました。

 

母国ブラジルにて小学校5年生で抱いた想い

エレーナさんは、ブラジル生まれの日系2世の父親とパラオ出身の母親のもと、ブラジルパラー州 アマゾン近くの田舎町トメアスに生まれた。

家は農家で、広大な農地を維持するには地域で協力して農業を営む必要があった。当時は非常に貧しい地域で、食糧不足から子供たちは免疫力も低く、肺炎や結核を患っていたり、寄生虫により下腹部がぽっこりと出ていたりすることも多かったという。医師は都会にしかいなく「地方には医療はない」に等しい状況だった。エレーナさんはこの自分の町の状況を小学校5年生にして「なんとかしたい。」「医者になって地域の人たちを助けたい。」と使命感にかられ、猛勉強する。

単に医者になりたいというのではなく、自分の町の人たちに、子供たちに、最低限の医療を施したいと考えたエレーナさんは地元で医療に携わるための方法を探していた。

日系が多く住むトメアスでは、JICAが提供する医師の研修プログラムに参加するとこの地域医療に関わることができるというのを知る。そして医師の資格をとるやいなや、エレーナさんは日本で開催されるプログラムに参加するため来日する。プログラムでは大学病院の小児呼吸器科で研修を受け、無事2年間のJICAの医療プログラムを修了。そしてブラジルへ帰国する。

これで晴れて地域医療に携わることになり、地元の町の20床もない小さな診療所でお医者さんになる。

エレーナさんの働いた診療所 パラー州トメアス Hospital Amazonia De Quatro Bocas

 

念願の医師としてのキャリア・医療通訳との遭遇

この診療所で勤務するのはエレーナさんの他に外科医がもうひとり。
たった2人でこの町の赤ちゃんからご老人まで全ての病気怪我の治療をしていたという。
さらには一週間に一度、アマゾンから体調不良の原住民たちがミニバスに詰められてエレーナさんの診療所に運ばれてきたという。

原住民の言語はグワラニー語。ポルトガル語をまったく話さない彼らのために同行した通訳者を介して状況を丁寧に理解しながら診療にあたったそうだ。
エレーナさんはこの時、すでに医療通訳という現場に遭遇していた。また、月に一度は山奥の高齢の日系一世の家へ訪問診療を行っていたという。日系一世もポルトガル語が話せないため、医者のエレーナさんが日本語で診療してあげることで体のケアだけでなく心の支えにもなっていたようだ。この町に医療を普及させて、子供たちに健康でいてもらいたいと願い、お医者さんになったエレーナさんは一生自分の町を守っていくつもりだった。

 

転機」

アマゾンの移民関係の仕事をしていた日本人のご主人と出会い、ご結婚。再び来日する。

「また日本に戻ってくるなんてこれっぽっちも思っていなかったんですよ。だからJICAの研修から帰る前に日本全国をめぐって色んな文化的体験をしたり、スキーしたり、富士山登ったり。ブラジルでできないことは全部やらなきゃと思って、お金全部使いきったんですからー(笑)」とエレーナさん。

GTNにたどり着くまでを懐かしがりながら語るエレーナさん(GTN新大久保支店にて撮影)

日本では、第二子の妊娠中に東京大学大学院で日系ブラジル人の児童精神性について研究し、医学博士を取得。その後子育てをしながらNGOが運営する在留外国人のための無料医療相談所で6人のブラジル人医者の一人として13年間活動していた。

ここの医療相談所にはブラジル人に限らず中国系や欧米系の外国人からも医療機関への案内依頼といった問い合わせも来ていたが、医療相談所にも関わらずブラジル人からは「子供のミルクの作り方がわからない」「ガンになってしまって働けずお金がない」というような日常生活の問合せや人生相談がとても多かった。
特に阪神・淡路大震災では多くの日系ブラジル人が被災し、生活困難に陥ったり、精神的なダメージを受けたり、連絡がひっきりなしだったという。日本国内に住むブラジル人は日本語が話せないことで日本社会に入れず、周りに相談相手もいなくて、無料医療相談所の言葉の通じるお医者さんが唯一の心の拠り所となっていたという。

しかし、リーマンショックの影響をうけ、エレーナさんが所属するNGOもバックアップする企業がなくなり活動停止となってしまった。

 

GTNとの出会い

その後も医療をはじめとする様々な通訳業務に関わる中、とある不動産会社で通訳業務を行っている際に外国人専門の家賃保証サービスを提供するGTNの存在を知る。「なんだなんだ、この会社気になる、どういう意図で外国人専門のサービスを提供しているの・・・・」とインターネット検索し、ホームページを隅から隅まで熟読した。会社の理念・社長の言葉に共鳴し、「絶対ここで働くんだ」と小学校5年生のときに抱いたあの決意を思い出したという。

「求人出てるか毎日チェックしていました。最初、連絡した際に返事もらえなくて、何回も問合せしたんですよ!」
とエレーナさん。

現在、GTNの生活サポート部にてGTN医療通訳チームを発足。
医師として、医療通訳者として多国籍で構成されている医療通訳メンバーに社内レクチャーを行いながら、日本に住む
「外国人が日本に来てよかったをカタチに」
を実現するために、サポート業務にあたっている。

生活サポート部内で医療通訳メンバーを隣でフォローする様子

 

GTNの医療通訳サービスについて

・レクチャーで一番気を付けて教えていることは何ですか。

医療通訳するものとしての倫理観の意識合わせは特に気を付けています。

医療に関わるということは、人の生死にまで関わる可能性を否めません。
患者さんに対する接し方だけでなく、医療通訳する一人一人にも【医療通訳】の役割を理解してもらい、一人で抱え込んだりしないようにチームで信頼関係を築き、健全にお客様の対応ができるようメンバーのサポートをしています。

・今後GTNの医療通訳サービスをどのようなサービスにしていきたいですか。

GTN医療通訳チームメンバーの通訳対応のクオリティを日本一にします。
医療通訳というのは、病院に行ったときにお客様の伝えたいことをしっかりお医者さんに伝え、お医者さんの言っていることがしっかり本人に伝わるように安心を提供するというのはもちろんですが、それだけではなく活用のシーンを観光や学校教育のような場にまで展開し、すべての日本に住む外国人の方々に利用していただけるサービスにしていきたいです。

・一言お願いします。

今回自分を振り返って、過去から今につながっているものが見えました。
本当にGTNに出会えて、一員になれてよかったです。今まで自分が携わってきた医療関係の仕事での経験や知識をここで活かせることができて何より嬉しく思っています。
生活サポ―ト部のメンバーと一緒に一丸となって働くことが今の私の生きがいになっています。

今回のインタビューで今の自分の立ち位置がよくわかったと話すエレーナさん(奥)

外国人雇用に役立つサービス


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